
第164回直木賞受賞作。
わたしは、地元私鉄沿線の本屋をまわって4軒目でみつけました。
今はもう増刷されているのでは。
さて。
かねがね、自分と同年代作家の作品は読みやすい、と思います。
『心淋し川(うらさびしがわ)』の著者・西條奈加さんは56歳。
わたしのひとつ年上で、つまり同年代です。
久しぶりに面白い小説読んだなあ。
「心」は「うら」と読みます。
「悲しい」というよりも「うら悲しい」といった方が、せつなさ5割増し。
「淋しい」というよりも「うら淋しい」といった方が、せつなさどうしようもなさその先の無力さむなしさ5割増し。
「うら」とつけるだけで、本来の感情にさらにマイナス度アップ。
アップして、自分の中で確実に折り合いのつかない感情がおそってきちゃう。
というわけで、読後は何ともいえない心持ちになる。
主人公の「どうしようもなさ」「あきらめないとやっていけない」って部分だけが、わかるともなしにわかってしまうから。