【本の感想】比喩と分析の嵐の中

又吉直樹氏の最新作『人間』を読みました。
こちら


芥川賞受賞作『火花』よりも
2作目『劇場』よりも
この『人間』は、読みやすかったです。

現状を、登場人物たちの感情に乗せて分析。
分析は比喩と理論の応酬。
正解はないところで、人物たちは、ああでもないこうでもない、と思考をめぐらせてます。


いいまわしは、遠回しだったり行き場のない想いをこねくりまわしていたり。
一文は長いし。
元同じ大学の二人がメールとブログと記事でやりあう引用文は、どこまで続いちゃうんだろうという終わりが見えなかった。
実は、お互いのメールや記事について、ここはこう、と独自の解説と分析を綴っているだけでした。

正直に言えば、メンドクサイ部分をひたすら、さらにめんどくさく細かくひと言も逃すことなく分析している小説です。
メンドクサイなら読まなきゃいいのです。
が、読まずにはいられません。
冒頭の出来事が印象的過ぎました。
1行で、現実から『人間』の小説世界へひっぱられました。

絵を描いたり、音楽を作ったり、文章を書いたり、という人物が登場します。
イラストレーター・コラムニスト、漫画家志望、芸人・作家、という肩書がでてきます。
読んでいると、創作にかかわる人物は、すべて著者である又吉直樹氏の分身であるように思えました。
だから、同じ創作するものとしてのわたしは、共感したり感心したり、異議を唱えたりしながら読み進められたのでした。


小説を書く人の話、脚本を書く人の話、大好きです。
どんなことから構想を得て、キャラクターを作り、ストーリーを考え、小説や脚本という形にするのか。
裏話を聞くことが、大好きです。
表に出ていることだけでなく、裏の姿も見たいです。


『人間』という小説は、人間が登場しました。
嫌ったり妬んだり、過剰反応したり、過剰分析したり。
何かを作り出すことは、自分の中でもがくこと。
もがきまくって出口を探して、光が見えたら完成に向かって進めることができます。

もがいて、一度沈んでも、必ず浮上して泳いで岸に向かってます。