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【本の感想】片岡義男の小説に30年以上惹かれている理由

今日は「片岡義男」の日だ。
読みかけの『さしむかいラブソング』(早川書房)を持ってでかける。
(これが26日の話)


どれも、20代の前半あたりに読んだ小説で。
30年経って読んでも、ぜんぜん古くなかった。
ただ、男と女が連絡を取り合うのに、スマホやLINEはでてこない。
公衆電話や家の固定電話が登場する。

不便だとは思わなかった。
駅の改札の脇にある伝言板が、当時は面白かった。
待ち合わせて出会えなかったとしても、それはその日の運命だと思ってた。


「片岡義男の日」と思ったのは、仕事のためのメモとか下書きとか、ちょっと忘れて小説に集中したい、と。
26日は、電車に乗って移動してる間、すべて読書に費やした。
眠ることなく。


片岡義男の小説に登場する10代20代の人物たちは、ぶれない。
男は、好きな女はとことん好き。
女は、気持ちも経済的にも自立していて自由。
初めて読んだ20代のわたしは、そんな彼らに憧れた。
あれから30年以上。
54歳になったわたしは、バイクに固執する高校生男子を読みながら、ばっかじゃないのと思いつつも、小説は最後まで読んでしまう。

ばっかじゃないのと思いつつも、小説の中で変わらないままの彼も彼女のことが、うらやましい気持ちがある。

なんでここまで惹きつけられるのか。
答えは、解説に。
解説を書いた文芸評論家の北上次郎さん、さいこーです。

片岡義男の小説には、決定的な感情表現がなく、読者に判断をゆだねられる。

100点の正解が示されていないから、読者の心の中には未解決のモヤモヤが残って、また読んで確かめたくなる。
だそうです。

その通り。
だから30年以上経っても、小説の中の彼と彼女の感情を知りたくて、読み返す。


追われたつもりが、W3かっさらって行かれて、追いかけてた自分に気づく。
一冊、片岡義男を読み終えて、帰りにわざわざ本屋によって、別の文庫を買って帰る。




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